フロントフォークオーバーホール+トラックテックフォークスプリング組込み
2000 XL1200S様 カートリッジ式フロントフォークのオーバーホールと合わせてトラックテック
フォークスプリングの組込みです。
恐らく新車工場出荷から一度もフォークオイル交換もオーバーホールもされていないであろう
コンディションです。
XL1200S、FXDXのみに純正採用されたショーワ製のカートリッジ式フルアジャスタブルフォークは
車体搭載状態のまま分解なしで外からフォークスプリングのプリロード調整、圧縮側減衰、伸び側減衰の
調整ができる優秀なフロントフォークですが、ハーレーで純正採用されている大半のダンパーロッド式
のフロントフォークに対して構成部品点数が圧倒的に多く複雑な構造の為
作業スキルと専用工具を必要とするので一般的なダンパーロッド式のフロントフォークに比べて
新車工場出荷時からメンテナンスをされていない物が圧倒的に多いです。
圧縮側、伸び側ダンパー調整機構も全分解、洗浄します。
今回は点錆の出始めていたインナーチューブ交換、ボトムケースはアルマイト処理の下から
アルミの酸化で汚くなっていたボトムケースをウエットブラスト処理しました。
合わせてトラックテックフォークスプリングも組込みます。
新車時から22年間走行時の加重+停車時も車重を支え続けてきたスプリングなので
張力低下しているので、オーバーホールのタイミングで合わせてフォークスプリング交換するのはおすすめです。
上トラックテック、下純正スプリング比較すると純正は右側組付け状態で下側の
スプリングの巻きピッチが細かくなっているのが分かると思います。
不等ピッチスプリングといって巻きピッチが細かい側で加重が少ない状態で動きやすく
巻きピッチが荒い側で高加重時に粘り強く縮む様に作られたスプリングです。
対してトラックテックは等ピッチスプリングといって縮む量ストロークに対して比例して張力が増していきます。
文章で説明すると動きやすく粘ってくれる不等ピッチが良く聞こえますが、当ピッチにも勿論
メリットが有ってストロークに対して比例して増していく張力が人間の感覚的にコントロール
しやすいというメリットがあります。
ハイパープロのフォークスプリングは大きく分けると不等ピッチですが
コンスタントライジングレートといって少し違うようです。
ハイパープロについてはまたの機会に
XL1200Sのフォークにハイパープロは以前組み込んだ事があるのでトラックテックと比較が楽しみです。
トラックテックのセッティングデータには完全にフォークオイルを抜き取った上で
のフォークオイル油量での指定ですが、今回はオーバーホールで
完全分解、脱脂洗浄しているので規定の油量でいれてしまうと実質油面が低くなってしまいます。
ハーレーはサービスマニュアルにもフォークオイルの規定油量がドライ、ウエット共に書いてあるので
shopですら油量で入れる人が多いですが、テレスコピックフォークのフォークオイルは油量ではなく重要なのは油面です。
組付け状態でインナーチューブ内のフォークオイルから上の空気の体積で空気バネの効き具合を調整しています。
フォークオイルを油面調整するということでカートリッジダンパーのエア抜きを
入念に確実に行った上で油面調整します。
フォークスプリングを組み込んでトップキャップ、ダンパー調整機構アッセンブリーを
組付けて完了です。
フロントフォークをリフレッシュして車体に組み付けると
立ち姿がどこか凛として見えるのは作業者の親バカです。
プリロード、ダンパーの調整はトラックテックの指定値に調整しましたが、
乗りながら好みで触って調整して遊べるのがこのフロントフォークのいいところです。
カートリッジ式フロントフォークに関してはメンテナンスに困っている方もいらっしゃると
思うので、フォーク単体発送でのオーバーホールも受け付けます。
ハーレーダビッドソンからインナーチューブ、スライダーブッシング、シール類、各Oリング他消耗部品が供給される間に
一度しっかりオーバーホールする事で本来の性能を取り戻し末永く使うことができると思います。
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