71FLH様クランクケーススタッドボルト座面クラック溶接盛り修理、座面修正
71FLH様 エンジンオーバーホールスタートですと言いたいところですが、
クランクケーススタッドボルト座面にクラック、他全箇所座面が荒れている為
クランクケーススタッドボルト穴クラック溶接盛り修理、座面修正からです。
ワッシャー無しもしくは締め込んで歪のあるワッシャーの再使用を繰り返すと
このように座面が座屈していき最終的にはクラックが発生します。
座面が座屈したまま新しいワッシャーで組んでもまたしかりです。
座面が座屈した状態で歪んだワッシャーでトルクレンチで規定トルク掛けて組んでも時間が経つと更に沈んでボルトに掛かっているはずの軸トルクは抜けていきます。
クランクケース単体の状態でないと加工はできない箇所なのでオーバーホールの際には確認、必要であれば修正面研しています。
純正のクランクケースをより長く使う為の予防修理でもあります。
クラック修理は必ず破断面を絶対に残さない所まで削り取らなければ
残した破断面を起点として再度クラックが発生します。
アルミ鋳物の溶接修理、特にクランクケースやシリンダーヘッド、トランスミッションの修理は溶接の熱による歪み、歪による残留応力をできるだけ少なく仕上げる対策も重要です。
座面以外の箇所は鋳肌風に整形加工仕上げします。
溶接棒の番手もいろいろ試して色の合う溶接棒を使用しているので
ハーレー社の鋳物合金と成分も近いです。
フライス盤上でクランクケースの損傷の少ない加工面を基準にレベル出しをしてセットします。
このレベル出し、セットこそが機械加工の仕上がりの善し悪しを大きく左右すると言っても過言ではありません。
クラックの無い箇所も全て座面が座屈していました。
今回は全箇所座面修正しました。
スタッドボルトによる左右クランクケースの結合剛性が本来の状態で無ければ
この後のオーバーホール作業にどんなに精密に加工して良いオーバーホールを
施しても粗悪な基礎の上に立派な家を建てるような本末転倒な結果になってしまいます。
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